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2026/04/18

【熊本県】カッシーナ(Cassina)CAB(キャブ)チェア修理|深い傷補修・スレ傷修復・質感そのままに再生!

皆さま、こんにちは ♪

熊本県宇土市に工房を構えます「革研究所 熊本西店」です。

 

大切にされている革製のバッグや財布、靴はもちろんのこと、当店ではご自宅や店舗・オフィスでご愛用されている高級革製ソファやデザイナーズチェアの補修・リペアにも力を入れております。

本日は、イタリアの最高峰家具ブランド「Cassina(カッシー)」のロングセラー名作椅子「CAB(キャブ)チェア」のスレ傷補修・染め直しの施工事例をご紹介いたします。

今回は熊本県八代市にお住まいのお客様よりご依頼をいただきました。

 

【Before】施工前の状態

今回、八代市内のお客様よりお持ち込みいただいたカッシーナCABチェアの状態を詳しく拝見しました。

 

背もたれ左右の深い傷: 背もたれ部分に、革の深部まで達する深い傷・引きつれが見受けられました。そのままにしておくと傷口から乾燥が進み、ひび割れや破れに進行するおそれがあります。

 

 


側面・フチの塗装剥げ: 日常的に接触しやすい側面や角の部分は、表面の塗装が剥げて下地の素地が露出している状態でした。

 

全体の細かなスレ傷と艶ムラ: 全体的に細かい摩擦傷が広がっており、乾燥によって本来のしっとりとした艶が失われていました。

お客様からは「長年愛用してきた思い出の椅子。傷が目立つようになって…なんとか綺麗にしてほしい」とご相談をいただきました。

当店では、カッシーナCABチェアの革の特質を見極め、傷、スレ部分の補修とリカラー(染め直し)施工をご提案し、進めさせていただくことになりました。

 

カッシーナCABチェアの修理工程

●クリーニング・脱脂

まずは革の表面に蓄積した皮脂汚れ、埃、過去のワックス分を専用のクリーナーで綺麗に除去します。その後、余分な油分を取り除く「脱脂作業」を行います。油分が残っていると補修剤や塗料の密着性が低下するため、非常に重要な工程です。

●スレ傷補修・研磨

背もたれの深い傷や側面の塗装剥げ部分に、補修溶剤を塗布していきます。固くなりすぎない特殊補修剤を使用することで、曲げ伸ばしや着座時の圧力にも耐えられる柔軟な皮膜を作ります。
乾燥させた後、手作業研磨を行い、段差を平滑に仕上げます。この「塗布・乾燥・研磨」の工程を傷が見えなくなるまで何度も丁寧に繰り返します。

 

●調色・染色・色止め

調色(色合わせ)は色褪せや傷のない座面裏側に合わせ

納得がいくまで何度も調合を行います。

スプレーガンを使用して塗料を均一に何層も薄く吹き重ねていきます。

●仕上げ

最後に、オプションのトップコート加工で仕上げていきます。この工程で色止め・艶調整も同時に行います。

乾燥後、オイルで全体を丁寧に拭き上げ、作業完了となります。

 

 

【After】施工後の仕上がり

 

施工後のカッシーナCABチェアをご覧ください!


深かった背もたれの傷もすっかり平滑になり、どこに傷があったのか分からないほど美しく仕上がりました!

 

側面の塗装剥げや角のスレ傷も綺麗にカバーされ、サドルレザー特有のしっとりとした品のある艶と風合いが見事に蘇っています。

 

厚革のしっかりとした質感と手触りはそのままに、まさに「名品CABチェアの復活」です。

 

お客様にも気になっていたキズが綺麗になり大変お喜びいただけました。

修理後のご自宅でのお手入れ方法もご案内させていただいております。

このたびは当店にご依頼いただき、誠にありがとうございました。

 

~ カッシーナ(Cassina)CAB(キャブ)チェアとは?~

1927年創業のイタリア高級家具ブランド「Cassina(カッシーナ)」。その中でも1977年に巨匠マリオ・ベリーニによってデザインされた「CAB(キャブ)チェア」は、世界中で愛され続けている不朽の名作です。
CABチェア最大の特長は、「金属のフレームに、上質な厚革(サドルレザー)のジャケットを被せる」という独特の構造にあります。フレームを包み込む分厚い本革の張り感、使えば使うほど体に馴染み味わいを増す経年変化(エイジング)は、他の椅子では味わえない唯一無二の魅力です。

カッシーナ「CAB(キャブ)」が名作と呼ばれる理由とデザイン哲学の深掘り

では、ここからはカッシーナのCABチェアがなぜこれほどまでに世界中で愛されているのか、そのデザイン哲学についてさらにディープに掘り下げてみましょう。これを知ると、目の前にある一脚の椅子が、どれほど奇跡的なバランスで作られているかが分かります。

CABチェアは、1977年、イタリアの伝説的な建築家でありデザイナーでもあるマリオ・ベリーニ(Mario Bellini)によってデザインされました。発表から半世紀近くが経過した現在でも、カッシーナ社のコレクションの中でトップクラスの誇る超ロングセラーであり続け、「モダン家具のマスターピース(傑作)」として世界中の美術館にも収蔵されています。

1. 衣服のように革を「着せる」という革新的な構造
CABチェアの最大の特徴は、その内部構造にあります。通常の椅子は、木製や金属製のフレームの上にウレタンなどのクッション材を乗せ、それを布や革で包んでタッカー(大きなホチキスのようなもの)で留める構造をしています。 しかし、CABは全く違います。椅子の骨組みは、頑丈なスチール製の細いフレームだけ。そのスチールフレームに対して、あらかじめ立体的に裁断・縫製された厚みのあるヌメ革(サドルレザー)の「カバー」を、まるで衣服を着せるようにすっぽりと被せるのです。 そして、それぞれの脚の内側に仕込まれたジッパー(ファスナー)を、職人が手作業でギュッと閉めることで、革のテンション(張力)だけで全体の構造を強固に固定します。この「フレームに革を着せる」という独創的なアイデアこそが、ベリーニの天才たる所以であり、無駄な装飾を一切削ぎ落とした、極限までスリムで美しい彫刻的なシルエットを生み出しているのです。

2. スキン(肌)としてのレザーへのこだわり
マリオ・ベリーニは、この椅子をデザインするにあたり、「家具は人間の身体の延長線上にあるべきだ」と考えました。骨組みとしてのスチールフレームが人間の「骨格」だとすれば、全体を覆うヌメ革はまさに人間の「皮膚(スキン)」そのものです。 使用されているのは、厳選された最高級のたがわ(厚革)。カッシーナの厳しい基準をクリアした、傷が少なく、繊維がぎゅっと詰まった極上の部位だけが使われています。この革は、使い込むほどに座る人の体型に合わせてわずかに伸び、馴染み、世界にたった一つだけの極上の座り心地へと育っていきます。だからこそ、CABは「世代を超えて受け継ぐことができる椅子」と言われているのです。

【徹底解説】知っておきたい「CABシリーズ」全ラインナップとその魅力

「CAB」と聞くと、多くの人が一般的なダイニングチェアを思い浮かべるかもしれませんが、実はその圧倒的な人気の高さから、ライフスタイルや空間の用途に合わせて、様々なバリエーション(シリーズ)が展開されています。ミーティングなどでも「CABの種類だけでもかなり奥が深いので、ぜひ紹介するべきだ」と話題に上るほど、それぞれのモデルに明確な役割と美学が存在します。ここでは、現行モデルから派生モデルまで、その魅力を徹底的に解説いたします。

① 412 CAB(アームレスチェア)〜究極のミニマリズム〜
もっとも標準的であり、CABの原点にして頂点とも言えるのが、この「412 CAB」です。肘掛け(アーム)がないアームレスタイプで、横幅が非常にすっきりとデザインされています。 日本の一般的な住宅のダイニングルームでも、テーブルの下に綺麗に収まりやすく、複数脚を並べても空間を圧迫しないのが最大のメリットです。背もたれから座面、そして4本の脚の先端に至るまで、遮るもののない一本の美しいラインが堪能できるため、ベリーニのミニマリズムのデザイン哲学を最もストレートに感じられるモデルと言えるでしょう。ダイニングチェアとしてはもちろん、壁際にポツンとオブジェのように置いておくだけでも、絵になる美しさを持っています。

② 413 CAB(アームチェア)〜極上のホールド感と風格〜
412に高貴な肘掛けを追加したのが、この「413 CAB」です。アームがついたことで、全体の横幅やボリューム感が増し、一気に重厚感とエグゼクティブな風格が漂います。 このアーム部分も、当然フレームに革を巻き付けて作られているため、手を置いたときに革の温かみとしなやかさがダイレクトに伝わってきます。ダイニングテーブルの「お誕生日席(主賓席)」に配置したり、書斎のデスクチェアとして贅沢に使用したりするケースが非常に多いモデルです。肘を預けてゆったりと身体を預けたときのホールド感は格別で、長時間の会議や読書でも全く疲れを感じさせない、至高のパーソナルチェアです。

③ 414 CAB(ラウンジチェア)〜贅沢な時間を愉しむロータイプ〜
ダイニング用の412や413とは一線を画し、リビングでゆったりとくつろぐために設計されたのが「414 CAB」です。座面の高さが低めに抑えられ、その分、座面の奥行きと横幅がひと回り、ふた回りも大きく贅沢に広げられています。 クッションが入っていないにもかかわらず、計算された革の大きなしなりと傾斜によって、まるで高級なソファに深く腰掛けているかのような、包み込まれるリラックス感を味わうことができます。お気に入りのアートを眺めるリビングの特等席や、シアタールームの特等席にふさわしい、ラグジュアリーの極みのようなモデルです。

④ 415 CAB(2人掛け・3人掛けソファ)〜圧倒的な存在感を放つ革の塊〜
CABの「フレームに革を着せる」というアイデンティティを、そのまま巨大なソファのスケールへと拡張したのが「415 CAB」です。2人掛け、あるいは3人掛けのサイズがあり、リビングルームの主役として圧倒的なオーラを放ちます。 全面が最高級のヌメ革で覆われたソファは、モダンインテリアの極み。無駄なクッションの膨らみがないため、非常にシャープで建築的な美しさを持っています。経年変化によってソファ全体の革がクタクタと味わいを増していく様子は、まさに圧巻の一言。ヴィンテージになっても家宝として受け継がれるほどの価値を持つソファです。

⑤ CABスツール(カウンターチェア)〜モダンな空間を格上げする高貴な脚〜
近年、アイランドキッチンやホームバーを取り入れるご家庭が増える中で、絶大な人気を誇っているのが「CABスツール」です。CABの美しいデザインをそのままに、脚を長く伸ばしたカウンターチェア仕様となっています。 キッチンのカウンター越しに朝食を食べたり、夜にワインを楽しんだりする空間が、これ一脚でまるで都心の洗練された高級バーのような雰囲気に早変わりします。背もたれが低いショートバックタイプや、しっかり支えてくれるハイバックタイプなど、カウンターの高さや用途に合わせて選べるようになっています。
カッシーナCABチェアが魅せる、インテリアコーディネートの妙
これほどまでに種類が豊富なCABシリーズですが、なぜインテリアデザイナーたちからこれほどまでに重宝されるのでしょうか。それは、「どんなテイストの空間にも不思議と調和し、その空間の格を一段上げてくれるから」です。
例えば、コンクリート打ちっぱなしのモダンでクールなミニマルスタイルの空間にCABを置けば、革の持つ自然の温かみがプラスされ、冷たすぎない洗練された空間になります。 一方で、無垢の木をふんだんに使ったナチュラルな北欧風の空間や、和モダンな空間にCAB(特にブラックやダークブラウン)を合わせると、今度は空間全体がピリッと引き締まり、大人の上質な落ち着きが生まれます。

また、カラーバリエーションが豊富なのもCABの魅力です。定番のブラックやチョコ(ダークブラウン)は流行に左右されない絶対的な安心感がありますし、ナチュラル(キャメル系)は革を育てるエイジングの醍醐味を最も味わえます。さらに、ホワイトやベージュ系はエレガントで軽やかな空間を演出し、レッドやブルーといった鮮やかなカラーは、インテリアの素晴らしいアクセント(差し色)になります。
どのような空間にあっても、CABが放つ「本物の革だけが持つ存在感」は薄れることがありません。だからこそ、傷ついたからといって手放すのではなく、私たちのような専門工房で修理をして、何十年も使い続ける価値があるのです。

 

最後まで、ブログにお付き合いいただきありがとうございました。

 

革製品の修理は革研究所 熊本西店へ
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